こんにちは、いおり(@imotter529)です。
マネースクエアHDが提供しているFX自動売買のしくみであるトラリピ。当初は、対円ものがわかりやすいかなとカナダドル/円の通貨ペアで運用をはじめましたが、現在では、豪ドル/NZドル、ユーロ/ポンド、ユーロ/円と3つの通貨ペアで運用しています。
カナダドル/円も運用したいのですが、2022年3月以降の急速な円安進行により、本来設定したいレンジから大きく外れてしまっている状態のため、現在は運用停止しています。
元々、複数通貨ペアを運用するのは「管理し切れるかな・・・?」と不安に思う点もあったのですが、リスク管理の観点からも複数通貨ペアでの運用はおすすめということを知り、これらの通貨ペアの運用に踏み切りました。
結果として、ある通貨ペアの評価損が膨らんでいるときも他の通貨ペアで利益を得られていたりと、多くの恩恵を得られています。
この記事では、複数通貨ペアの運用がなぜリスク管理に適しているのか、運用するにあたり、どういった観点で通貨ペアを選べばいいのかについて紹介していきます。
「そもそもトラリピとは?」という方は、別記事にトラリピの概要とメリットについてまとめているので、ぜひこちらもご覧ください!
複数通貨ペアはなぜリスク管理に向いているのか?
複数通貨ペアがリスク管理に向いている理由として、大きく以下の2点があげられます。
- 特定地域やカントリーリスクによる影響を抑えることができる
- 異なる値動きをする通貨ペアを組み合わせることで評価損を抑え、安定的に利益獲得を期待できる
2つ目のポイントは1つ目に起因する内容ではありますが、「守り」の観点だけではなく、利益獲得につなげるという「攻め」の観点からも有効であるため、あえて記載しました。
たとえば世界のどこかで紛争が起きたり、「○○ショック」と呼ばれるような値動きがあった場合、当該国や地域の通貨を運用していた際には、為替の変動も大きくなります。
このような大きな値動きがいつ、どの通貨で、どちらの方向に(対円の通貨ペアであれば円高か円安か)動くかは、誰にも予想することができません。
通貨同士が似たような値動きになるケースもありますが、世界の通貨がすべて同じ値動きになることはないため、異なる動きをする通貨ペアを組み合わせることで、リスク幅を小さくし、評価損が膨れ上がったり、結果としてロスカットになってしまうという最悪の事態を避けることができます。
また、仮にある通貨ペアで評価損が出ていたとしても、他の通貨ペアでは利益を出すことができていれば、安定的に利益を獲得できます。
私自身、トラリピの評価損は将来の利益に向けた種蒔きと捉えているものの、評価損がどんどん大きくなり、決済0の日が長く続くと、少なからず不安に感じることもあるのではないでしょうか?
少なからず利益を得られている通貨ペアがあれば、精神的負担も小さくなり長期的な目線で運用を続けるマインドを育むことにもつながるのではないかと思っています。
複数通貨ペアの運用方法
では実際に、複数通貨ペアを運用するにあたって抑えておくべき観点や、ポイント、注意点についてご説明していきます。
ポイント①相関性のない通貨ペアを選択
リスク管理目的で複数通貨ペアを運用するのであれば、通貨ペア同士の相関性は要チェック!
相関とは「片方が上がればもう片方が上がる(下がる)」というように一方の動きに連動してもう片方が動くイメージであり、互いに同じ方向に動く正の相関(片方が上(下)がればもう片方が上(下)がる)と、逆の方向に動く負の相関(片方が上(下)がればもう片方が下(上)がる)があります。
ポイントはこの正の相関でも負の相関でもない、相関性のない通貨ペアを選択するということ!
通貨ペアの相関についてはトラリピ公式でまとめられていたので要チェック!
上記は通貨ペア同士の相関係数を表にしたものであり、「1」に近いものは正の相関があり、「−1」に近いものは負の相関があると言えます。相関がない通貨ペアとは「0」に近い数字のもの。上の表では、黄色く塗りつぶされているものが相関関係にない通貨ペアです。
私が運用している「EUR/JPYとEUR/GBP」、「EUR/GBPとAUD/NZD」も、それぞれ互いに相関性のない通貨ペアです。
また、これまで述べてきているとおり相関性がない通貨ペア同士を組み合わせるのが最も簡単なのですが、相関性がある場合も、売買の組み合わせを考慮することで、リスク分散を狙うことができます。
- 「0」に近い通貨ペア同士・・・売買の組み合わせをあまり気にしなくてOK!
- 「1」に近い通貨ペア同士・・・「買い+売り」で運用
- 「−1」に近い通貨ペア同士・・・「買い+買い」または「売り+売り」で運用
たとえば、相関係数が「1」に近く正の相関があるといえる「CAD/JPYとAUD/JPY」の通貨ペアの場合は、相関関係の観点からは「CAD/JPYを買い、AUD/JPYを売り」で運用することでリスク分散の効果を狙えます。
どうしても運用したい通貨ペアが相関関係にある際には、上記のような売買の組み合わせを考慮すれば良いのですが、後述するスワップとの兼ね合いもあるので、自分が運用したい売買を選択できる、そう関係にない通貨ペア同士の組み合わせが最もおすすめです!
ポイント②通貨ペアの特性を考慮する
複数通貨ペアを運用するにあたって、組み合わせようとしている通貨ペアがそれぞれどのような特性を持つか、なんとなくでも把握しておくにこしたことはありません。
たとえば2021年1月〜2022年1月までの期間で、トラリピで取り扱っている15通貨ペアのうち、最も利益を上げた「AUD/NZD」の通貨ペアは、「狭いレンジでの値動きが多い」「ショック相場に強く、ロスカットになりにくい」という特徴があります。また、対円対ドルいずれでもない通貨ペアのため、円やドルの値動きにも影響を受けにくいという特性があります。
運用したいと考えている通貨ペアが「何」による影響を受けやすいかは、過去の値動きの要因などを参考に把握しておくようにしましょう。
ポイント③対円被りは避ける
前章でAUD/NZDを対円対ドル以外の通貨ペアとして紹介しましたが、対円同士の通貨ペアだけで複数運用するようなことは避けましょう。
対円系の通貨ペアには、「円の値動きやドルの値動きに大きく影響を受けやすい」という特徴があります。
2022年現在、近年稀に見る円安が続いていますが、このような状況下で対円の通貨ペアのみで運用している場合(CAD/JPYとUSD/JPYなど)、せっかく複数運用していても似たような値動きになるため、急速な円安に対応しきれず、評価損が一気に積み上がったという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ただし、対円同士の通貨ペアは1つ目のポイントでご紹介した相関関係の観点から、相関があるものも多くあるため、たとえば正の相関がある通貨ペアについては片方を「買い」、もう片方を「売り」で運用することができれば、ある程度のリスク分散効果は狙うことができます。
私は3〜4通貨ペアを運用するなかで、CAD/JPYとEUR/JPYを同時に運用することもありましたが、前者を「買い」メイン、後者を「売り」のみで運用していました。
ただし、いずれのケースにせよ、スワップを考慮しておくべきであるため、詳細は次のポイントでご紹介します。
ポイント④スワップは要チェック
そもそもスワップとは、通貨ペア間(2国間)でのそれぞれの「金利差相当額」のことを指します。通貨ペアを選択して運用する場合、運用する通貨ペアそれぞれの金利を踏まえ、スワップが発生します。
原則は、金利の高い通貨を買うとスワップを受け取れ、逆に、金利の高い通貨を売るとスワップを支払うことになります。このスワップは基本的に取引期間中、日々発生するため、短期売買ではなく中長期での資産運用としてトラリピを利用するのであれば、少なからず把握しておいた方が良いと思います。
ただこのスワップは、各国で金利が見直されれば該当通貨が組み込まれている通貨ペアのスワップも変更が生じるというように、永年固定の金額ではないため、運用する通貨の金利見直しが行われた際には、適宜スワップも確認しておいた方が無難です。
私の場合、「CAD/JPY・買い」との組み合わせ用に運用を開始した、「EUR/JPY・売り」は2022年7月頃までスワップ0だったのですが、8月現在、日々マイナススワップが発生するようになってしまいました。
「EUR/JPY・売り」はここ最近、最も利益を生み出している通貨ペアのため、マイナススワップが発生していても暫くは運用を続けようと思っていますが、今後の動向次第では、運用停止も視野に入れて運用方針を考え直さねば、と思っています。
通貨ペアごとのスワップはマネースクエアの公式サイトにて日々更新されているので、最新の状況はこちらをご確認ください。
おわりに
いかがでしたでしょうか?複数通貨ペアを運用するにあたって、いくつかポイントとなる観点についてご紹介させていただきましたが、ポイント①と④さえ抑えておけば、②と③については「余力があれば」という形でも全く問題ないと思います。
運用方針を定めるのにあれこれ思考を巡らせて時間をかけてしまうよりも、「まずは少額から実践」することの方が、自身の理解度も大きく変わってくることと思います。
私自身、最初はさまざまな用語の意味を確認することからのスタートだったのですが、運用を続け、短い期間の間に急速な円安が進行するなどの外的要因も経験するなか、実感を持って理解を深められたことが多々あります。
この記事が、少しでもどなたかの参考になっていれば幸いです。
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